先日、渡辺淳一さんが亡くなった。
30年以上前、最初に読んだのが、無影燈だったと思う。
他の作家は、内容をすぐ忘れるが、渡辺淳一さんの作品は、タイトルを全てすぐに忘れてしまうに等しいが、内容がいつまでも心の中に行き続けている。
晩年のものは育児に明け暮れて読んでいないが、最初の頃は殆ど読破していると思う。
この作品の異様さの中に、限りない愛を見た。そして、人間の性もみた。
ぞっこん大好きになった。
日本で最初の心臓移植、和田移植のことを読みながら、正義感の中に、どれほどの優しさや倫理観等を感じ尊敬した。
暫くして、地元の大学の医学部の学園祭で、渡辺淳一の講演会をした。
聞きに行ったときも、この心臓移植を本に書いて、免職となった話を、淡々とされたことを思い出した。
このときの、学園祭の委員長を務めたのが、今の私のギネの主治医だと思う。
このとき、3名くらいだったかと思うが、渡辺淳一に握手をして貰った。
ラッキーなことに、私もして貰うことが出来た。
訃報を聞きながら、あのときの、大きくて柔らかくて、ちょっぴりごわごわした感触が思い出された。
そして、無影燈の感動と、和田移植を摘発することになった正義感を思い出しながら、今の自分の身との偶然性に、何かを感ぜずにはいられない。
渡辺淳一が子ども達を守ってくれると思っている。天から成敗してくれると思えた。
合掌