- 作者: 伊集院静
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/06/08
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- 作者: 伊集院静
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/03/15
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- 作者: 伊集院静
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またまた、伊集院さんです。
胸につまされる内容です。
私の知らない大東亜がありました。
私は、祖父や、祖母や、大叔父の何度も繰り返される戦争の話を聞いて育ちました。今の私からは想像も出来ないほど、無口で緘黙だったので、彼らは、じっと耳を傾けるだけの私が良い肴だったのでしょう。それこそ、3人は何十回も同じ話を繰り返していました。
不思議なのは、しない人は決してしないことでした。
父方の祖父は全くしませんでした。食べ物がなくて苦労した話は一切聞かされず、楽しかったことや、パイナップルをたまに戴くと、祖父が上手に切り分けてくれました。自分は浴びるほど食べたから要らないと言って食べずにみんなに切り分けてくれました。祖父がいたスマトラは食べ物にも困らなかったし、戦火も激しくなかったことだけで、他は一切語られることはありませんでした。
しかし、祖父は一生涯夜中に大声でうなされることがありました。そして、亡くなって7年忌のときに、ある方が、戦地で一緒だった祖父の話を聞かせてくれました。敗戦となり、そのときロシア領地にいた祖父。捕虜の立場が入れ替わって、生きて帰れたのは、多くの捕虜の監視兵が敵の捕虜を虐待したのに、祖父は決して虐待することなく、優しく手厚く労わったからだったそうです。捕虜の監視兵だったので終戦後かなり遅れて帰還したのもそのためだったそうです。
私たち孫の知る祖父は、本当に温かく、革新的でした。新しいものへの貪欲な挑戦、人間性を見つめる温かいまなざし。父が厳しく封建的な分、祖父は温かく民主的でした。
その所為か、私は高校の社会科学研究部で第2次世界大戦のグループに入れて貰ったりしました。
お父やんとオジさん
ここには、私の知らないまた一つの戦争の真実の姿があります。在日の韓国人、北朝鮮人と日本の葛藤や歴史、今を生きる日本人にとって、知っておきたい大切な歴史でもあると思います。
子供にも是非読ませたいです。
韓国人のお友達が出来たドロ、丁度、今朝は電子辞書でハングル語の作文を作っていました。
そして、こんな本との出会いも、すべては必然なのかもしれません。
数日前に、実家を取り壊すの自室を片付けるように言われました。
母は、お花やら和裁やら着付けなどの資格証を取っておくように言われました。
でも、私は、小学校3年生から家を出るまで付けていた日記だけを片付けました。
そして、何気にぺらぺらとめくった時、両親や祖母らに、のろまだとか、不器用だとか、スローだとか言われても、祖父だけが、
「手早やだねえ。上手だね。丁寧だね。器用だね。」
と言ってくれていた文章が残されていました。
私は、忘れていたことでしたが、そんな記載を目にしてびっくりしました。
その時に一緒に、祖父の戦争のアルバムも残されていたので、一緒に保管して来ました。
日記と祖父のアルバムはもう少しとっておこうかな。