黒崎京子の読書ブログ

本を読む はんなりとゆるりと凛として毅然と桔梗のように清楚に

きょうのきもち~たまにときどき読む大好きな詩

みることはみえなくなること

きくことはきこえないこと

わたしはじゅもくにふれながら

ひとのしらないことばをしゃべる

みずのこどくにふれ

すきなひとのかたにふれ

だれもしらない

あいのいろはで

 

 

みることはみえなくなること

きくことはきこえないこと

もりはひかりでみちていて

そらはことばでみちている

さいげんもなくしゃべりつくして

このはのようにしゃべりつくして

よりふたしかなりんかくのなかへ

すべてはころがる

よろめきながら

 

 

みることはみえなくなること

きくことはきこえないこと

ゆびさきのかすかなてんから

どあのうらがわのあなたをかんじ

ちいさなかぎあなから

あなたのてのひらへとすべりこむ

そしてくりかえされるひとつのといを

けしてこたえられないひとつのなぞを

やわらかなこうふくのようにすぎてゆく

だれもみしらぬ

わたしはいきもの